赤黄色の金木犀のあるアパートで
十月廿日
最近どうですか。私はというと、卒論に追われております。
もちろん楽しい時もあるんですが、ふと中間発表があと数日後という事実を思い出すと心臓がキュッとなります。もっと余裕を持っていられるはずだったのに…。
月曜には一旦先生にみていただくのですが、処刑に近い気分です。
時間は残酷です。嗚呼。…とりあえず、暗い話はやめにします。
気づけば秋も深まり、肌寒さを感じる日も多くなってきました。
数週間前から、香っていますね、金木犀が。
香りの御蔭で町のそこら中に生えていたことに気づき、毎年毎年驚いてしまいます。
特に私の住む小さいアパートは、入り口に金木犀があって、なんと部屋のドアを開けた瞬間からほんのりと香ります。
不思議な気分です。いつもと同じように部屋を出るのに、すとんと気持ちが落ち着きます。ハーブセラピーのような効果でしょうか。
それにしてもこのアパートにおそらくあと二年は住む、と思うともっと改善の余地がありそうです。
この部屋にて、生まれて初めてのメイクをしたり、深夜ラジオにはまったり、マーボー豆腐を一か月くらい作り続けたり、歌詞を書いてみたり、いろんなことをしてきました。とにかく物が多くて、時折断捨離をするのですが、結局またいらないものが増えてきます。ナゾだなぁ。
…いや、理由はわかっています。家主が極端に飽きっぽいせいです。
最近手に入れたのは壁掛けスピーカーです。これは、長く使うと思いますけど…。
再び金木犀のはなし。
この部屋に住んで秋を迎えるのは四回目なのに、私は金木犀の香りを嗅ぐまで、金木犀のことを忘れています。
この時期を過ぎれば金木犀の香りを思い出しもしないし、思い出そうとしてもなぜかその香りの輪郭を掴めません。
だけど、本当にこの香りは好きです。不思議な関係だと思います。
その目立たない姿のわりに、一瞬で心をつかむ香りを持っているのって、とても魅力的な木だと思います。
たとえるなら、私の勝手な想像で『源氏物語』の「花散里の君」みたいな人かな、とか思ったり。
「花散里」という人は、見かけは全然美人ではないけど、暖かい人柄や受け答えの見事さで、光源氏という超絶プレイボーイに一目置かれた人です。
一番には愛されていないけど、決して忘れ去られることはなく、時々存在感を発揮するところが、似ているなぁと思います。
私の妄想を披露したところで、そろそろ筆を置きたいと思います。
ろくでもないブログですがやっぱり続けたいので、もっと面白い文章がかけるように、努力したいと思います。そういう気持ちに最近なりました。
こういう風に自分の普段のなんでもない事を書くだけではなく、出来事やなにかを評論するような客観的な文章も書けるように、頑張ろうと思います。
ここまで読んでくださったあなたへ、ありがとうございます。
風邪に気を付けて、元気でいてください。
秋の夜長に